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皆さんが安心して暮らせる住みよい鎌倉市、環境・平和・福祉の鎌倉市を目指して
議会での質問等

2022年3月1日

2022年度予算案の各派代表質問を高野議員が行いました

以下は全文です。

日本共産党鎌倉市議員団を代表して、市長が提案されている一般会計予算案等の議案に関連して質問を行います。私が代表質問を行うのは4年ぶりとなりますが、理事者の明快な答弁をお願いいたします。

1.新自由主義を転換し、一人ひとりに寄り添い市民の声が届く鎌倉市政を

について伺います。

(1)雇用の改善・非正規雇用を正規化へ転換、職員数適正化計画の見直し

約2年にも及ぶコロナ禍のなかで、日本社会のあり方が問われています。その大きな考え方の一つに「新自由主義」からの転換があります。「新自由主義」とは小さな政府を志向し、市場競争を重視する考え方で、例えば水道や電気、鉄道・郵便・医療・農業といった公的事業を民営化することが望ましいという市場経済原理主義です。政府や自治体レベルでは、「官から民へ」というスローガンによる行革が1990年代に本格化し、鎌倉市でも今日まで実行されてきました。また、「新自由主義」は、自己責任や自助努力を強調し、日本における長期の経済不況においても、政府や公的部門の支出拡大は極力、抑えるべきという考え方でもあり、この点も問われています。

その結果、いま社会はどうなっているでしょうか。特に、新自由主義による格差拡大が問題となり、先進国を中心に中間層の下落が顕著になりました。日本も一昔前に「一億総中流」などと言われた時もありましたが、今では全く聞かなくなりました。逆に、「貧困」や「食料支援」といった言葉が行政においても日常的になっています。年収200万円以下のワーキング・プア、働く貧困層は、2000年の825万人から2019年には1200万人に達し、実に1.5倍に増えました。さらに、1997年の平均所得は467万円だったのが、2020年には433万円と実に30万円以上も下がっています。実質賃金は同じ時期の比較で、何と64万円も下がっており、主要国のなかで日本だけが20年以上、実質賃金が上がっていないのです。異常だと思いませんか。こうした傾向は、鎌倉市においても例外ではありません。

では、どうすべきか。民間も公共も雇用のあり方を見直し、安定した正規雇用を改めてきちんと位置づけ、人々の暮らしが向上する「やさしく強い」経済に転換することです。よく市民の方々から、市役所の職員が多いという声を聞きますが、正規職員を減らしても結局、アルバイトなどの非正規職員をかなり雇っている関係でそう見えているに過ぎません。必要な正規雇用を行い、責任ある仕事を効率よく行える職場環境をつくることが求められているのではないでしょうか。そのような視点で、鎌倉市職員数適正化計画などの見直しを今後おこなう考えがあるのかどうか、伺います。

(2)せめて図書館における司書職の新規採用、作業センターの新規採用を

具体的に申しあげると、一つは、市民の知る権利の保障や生涯学習の核としての役割を果たしている図書館運営の屋台骨である正規の司書職員を採用することです。市民からの陳情が議会で可決されており、そのような方向で検討されていると認識していますが、新年度の雇用について伺います。

また、道路や歩道、河川、緑地などの補修を行っている作業センターは、安全な市民生活にとって重要ですが、退職者不補充により体制が縮小の一途をたどっています。昨年9月議会の決算特において、在職20年以下の職員がゼロであることを明らかにしました。このままではなくなってしまいます。

ですから、私だけでなく複数の委員から市の対応を求める声があがったと認識しています。従来の方針を転換し、より若く市民のために頑張れる新規職員の雇用をおこなう時期にきているのではありませんか。伺います。

(3)ジェンダー平等プランを市政の柱にして推進を、女性の賃金格差是正

次に、日本のジェンダーギャップ指数は156カ国中120位と著しく遅れています。鎌倉市では現在の計画を「かまくらジェンダー平等プラン」と改め、内容の改定にむけた素案が議会に報告され、作業を進めています。

新自由主義からの転換に関連しますが、鎌倉市内における女性の就労状況は半数以上が非正規で、雇用の安定性や継続性、賃金、役職等で大きな格差が生じています。そのため、ジェンダー平等プランを市政の柱の一つに据え、市が率先して女性の雇用や管理職登用などで範を示し、市内の民間企業への啓発を進めていくことが強く求められていますが、見解を伺います。

特に、賃金については、勤続年数が長くなるほど差が開き、男性の7割~8割という実態です。格差解消には企業に実態公表の義務づけなどを行わせる必要があり、岸田首相も国会で具体的な検討を表明しています。鎌倉市としても積極的な取り組みを検討すべきと考えますが、伺います。

(4)指定管理者制度の見直しと公契約条例の必要性

次に、鎌倉市の施設について、新自由主義的による小泉構造改革の影響で、指定管理者制度が次々に導入されてきました。指定管理者制度については、総務省から11年前に、「コストカットのツールとして使ってきた「きらい」がある」とか、「本来、指定管理になじまないような施設にまで指定管理の波が押し寄せている」など、制度導入を図ってきた当事者からも懸念の声があがっていたことを思い起こす必要があります。

例えば、障がいをもった子どもたちの発達支援を担うハブ機能をもち、本来、指定管理者制度になじまない「あおぞら園」への導入にあたっては、実際、なかなか事業者が決まりませんでした。公の施設は、なぜ市という公の機関が所有しているのか。それは住民福祉の増進を図る地域の拠点であり、市民の財産だからです。指定管理が増えれば増えるほど、公的な責任の所在が複雑かつ不明確になり、契約期間があり事業の継続性も問題となります。

川崎市では、ある指定管理施設において1年で不当に雇い止めされた事例が発生し、川越市の指定管理施設では、管理者が正当な理由もないのに市民の利用を拒否し裁判となった事例。また、コロナ禍のなかで感染拡大防止のために施設が休館した際、労働者に6割の休業補償しか支払わず問題となった施設の事例。さらに、社会教育施設である箱根町の指定管理施設は、入園者数が年々減少傾向になった背景もあり、指定管理者が契約解除され、直営に戻すという事例も生じています。

鎌倉市においても、いま指定管理者制度導入の考え方について見直す時期にきているのではないでしょうか。見解を伺います。

特に、市の運営から指定管理事業者に代わると、結果として働く人たちの労働条件が低下している実態があると思います。いま転換が必要な雇用形態や賃金等の保障という観点からも、今こそ公契約条例の導入にむけた検討が必要と考えますが、いかがですか。

(5)生涯学習センターの指定管理者制度導入と利用区分の変更問題

次に、新たに指定管理者制度を導入しようとしているのが、5行政区にある生涯学習センターです。生涯学習センターは「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づく社会教育施設として運営されていることからも、そもそも指定管理業務には馴染まないと考えます。施設の性格上、民間事業者として利益を上げることも難しい施設であるため、果たして継続性が確保されるのかなど、強い懸念があります。残念ながら条例は可決されましたが、今後、相当慎重な検討を行うよう強く求めるものです。見解を伺います。

本来は条例改定の前に行われるべきであった利用者むけアンケートが年明けに実施され、結果は所管委員会に報告されると思いますが、市民の方から様々な声をいただいています。そのなかで最も多いのが、利用区分の変更による不便さです。鎌倉生涯学習センターのホール一杯に集まった1月15日の説明会でも大半の声がそうでした。恐らくアンケートにも相当多くの記載がされているでしょう。利用者が明らかに困ることを容認するわけにはいきません。改定された生涯学習センター条例のなかで、特に「別表」は現行の利用形態に戻し、利用料とあわせ再検討が必要ではないでしょうか。多くの利用者が困ると分かっているのに強行すべきでなく、時間もあることから柔軟に対応すべきと考えますが、見解を伺います。

(6)芸術館の管理運営の見通し・文化行政の改善を

次に、市内最大の文化施設である鎌倉芸術館の管理運営について、来年度からの次期指定管理者を公募した結果、どこからも応募がないという事態になり、3期15年間運営してきたサントリーの撤退が明らかになりました。市の文化行政のあり方が大きく問われています。このままでは4月からの運営に見通しがつかないため、15年前まで担っていた鎌倉市芸術文化振興財団を市が指名する形でお願いし、同財団に受諾していただきました。その後、選定委員会などの手続きをクリアして、昨年12月議会において、同財団が次期指定管理者として議決されました。今回の事態は、指定管理者制度による継続性や管理上の安定性に関わる問題が露呈したものであり、文化行政として教訓にすべきと考えますが、認識を伺います。

4月にむけ、現管理者のサントリーからの引き継ぎ業務をスムーズに進めるうえで、市がお願いして同財団に担ってもらう以上、文化行政の視点から十分な連携と必要な支援を行う責任があります。12月議会・最終本会議における総務常任委員長報告に盛り込まれた委員からの意見を正面から受けとめ、文化行政の再構築を図っていくよう強く求めるものです。もともと同財団は、芸術館を運営するために、市が音頭を取り官民でつくったものです。

今回の事態を重く受けとめ、次期指定管理者と十分な連携調整をはかり、安定した業務が開始できるよう特段の配慮を求めますが、認識を伺います。

(7)野村総研跡地は多くの市民が望む文化的な活用を

一番目の大項目の最後に、市に寄付されてから20年以上にもなる梶原4丁目の野村総研跡地についてです。同地の利活用事業について市は昨年4月、基本協定と基本契約の締結に向けた取組状況を発表しましたが、結局、次点交渉権者の事業者との協議も同社の事情による辞退という結果となりました。 最先端IT研究の拠点にする活用予定でありましたが、この間、市民説明や活用のあり方などについて、議会に陳情が出され可決されています。

二度の辞退という結果を踏まえ、ITなど研究開発系の誘致に拘るのではなく、多くの市民が望む文化的活用も視野に入れた再検討が必要ではないでしょうか。市に寄付された時の事実上の条件である文化的活用という原点に立ち返り、広く市民的な理解が得られる利活用にむけ、再公募にあたっては要綱の一部変更も視野に入れるべきと考えますが、認識を伺います。

2.大型開発を見直し、福祉・子育て・生活優先の鎌倉市政を

について伺います。

(1)市役所本庁舎整備事業の今後について

まず、市民的にも関心の高い市役所本庁舎移転問題です。新庁舎等基本計画と現在地基本構想の策定は9月頃にずれ込む予定で、急ぐことなく慎重に検討すべきと考えます。そもそも移転には、自治法4条の規定をクリアする必要がありますが、「住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係等について適当な考慮…」が計画には全く見えてきません。

本庁舎移転は、単にどのような庁舎を深沢事業用地に建設するのかということだけでなく、まちづくりのうえで交通上、住民の利用が最も便利になり、他の官公署と近接していることなど関係性も考慮されなければなりません。そのことを無視して進められますか。いま取り組んでいる新庁舎等基本計画策定との関係でどのように考えているのでしょうか、伺います。

本庁舎移転や現在地について、市民対話・ワークショップがおこなわれ、そのポイントが第9回本庁舎等整備委員会に示されています。ワークショップからみえてくるポイントの中で、現在地について「1.観光と暮らしの共存となる交流の場 2.歴史文化の発信 3.安心できる行政窓口機能」と掲げられています。とても大切な観点であると思いますが、素直に考えれば、これらの観点は単なる支所機能以上の意味合いをもつものです。特に観光や歴史文化の発信の場という意味では、事実上、本庁舎的な機能が必要であることを示しているのではないでしょうか。事実、ポイントの中には、「本庁舎の機能(市議会・市長室)を残す」、「鎌倉経済が回る場所」、「鎌倉幕府のようなシンボル」といった記載があり、さらに「本庁舎の現在地の立地の良さもあり、場所としての認知が確立されている」とも書かれています。

つまり、自治法4条の規定を満たす移転整備を真剣に考えるのであれば、少なくとも現在地に本庁舎機能を一定程度残さなければ計画は成り立たないということが、市民対話等からも明らかになっているのではないでしょうか。今後の本庁舎移転について、そうした視点からの見直しは避けて通れないと考えますが、市の責任ある答弁を求めます。

(2)「村岡新駅」問題と深沢地域整備事業のあり方について

次に、村岡新駅と深沢のまちづくりについて、一体開発による都市計画を「都市計画審議会」の議決を経て、進めようとしています。特に、村岡新駅との一体開発によるメリットとして、深沢事業用地の整備が完成予定の10年後には、約16億円の増収が見込めることを市民に宣伝しています。

しかし、「平成29年度村岡・深沢地区まちづくり実現化方策検討調査業務委託報告書」によると、その内訳は新駅から2キロ圏内は土地評価額が多い地域で1.7倍から1.8倍に上昇し、その結果、固定資産税及び都市計画税による増収が実に11億円以上に及ぶことが明らかになりました。市民にとっては、増税となるわけです。

鎌倉市は昭和30年代に、企業立地のため、進出企業に対する税金の減額を行いましたが、当時立地した29社が、現在は半数に減っており、跡地はマンション等に変わっています。最近では、武田薬品工業(株)湘南研究所を呼び込むために、松沢元県知事が村岡新駅設置の約束を交わし、県からは武田薬品工業に「インベスト神奈川」事業により約59億7千万円を助成し、藤沢市は固定資産税を約10億円減額したと聞いています。

しかし、2011年の開業から僅か7年で、企業の都合により研究所機能を縮小し、名称も「湘南アイパーク」と変わり、研究所は売却されました。

この事実は市民にとって何を意味しているでしょうか。企業は進出しても、その後の事情でメリットがなくなれば撤退してしまうのは自然なことです。かつてのバブル経済は遥か昔のことで、これから本格的な人口減社会に入るなか、企業を呼び込めば市民も潤うはず、という幻想ではなく、いま地域で生活している市民を大切にして、暮らし続けられる内需拡大型のまちづくりこそ必要ではないでしょうか

結局、10年先に約16億円の増収見込といっても、大半の約11億円は市民の負担によるものなのです。これだけの開発をして純粋な増収効果は、たった5億円に過ぎないのです。鎌倉市民にとって近距離の駅は、村岡新駅ではなく、湘南モノレール深沢駅や町屋駅、JR大船駅でありますが、新駅ができて土地評価が上昇すると、11億円もの増税になってしまう。こんな一体開発のどこに市民的な大義がありますか。新駅設置との一体開発は中止し、深沢まちづくり計画を見直すよう強く求めますが、見解を伺います。

深沢まちづくり計画予定地に、以前、「保健医療福祉センター構想」が位置づけられていました。現市政になり、実施計画から消え、影も形もなくなりました。本当にそれで良いのでしょうか。地域福祉などの支え合いや連携は今こそ求められています。深沢まちづくりのコンセプトを「ウェルネス」と掲げながら、実態が伴っていません。県内で保健センターがないのは、鎌倉を含め3市だけです。現在は、行政用地の施設整備時に、乳幼児健診や健康相談などの機能を検討するとしていますが、改めて保健医療福祉センターについて位置づけ、関係機関と協議すべきと考えますが、見解を伺います。

(3)高齢者交通費助成制度の復活・充実について

次に、多くの高齢者が望まれている外出支援など交通費の補助充実です。平成15年度から75歳以上の高齢者を対象に交通費優待制度が創設され、年間2000円の補助が行われ、約35%の方が利用されていました。

しかし、市長は財政難を理由に平成26年度から制度を凍結してしまいました。その後、高齢者による交通事故増加との関連もあり、65歳以上の方が運転免許証を自主返納した場合、安全確保と外出支援対策として、2年間に限り、年間2000円、タクシー券4枚及びバスに利用可能な補助を実施しています。

高齢者の外出支援は、誰もが元気に暮らし続けることを支援するうえで、大変重要な事業であります。いま、運転免許証返納者だけでなく65歳以上の希望する方に補助を広げ、2年間ではなく継続的な補助制度に充実させるよう強く求めるものですが、見解を伺います。

(4)交通不便地域の取り組みについて

高齢者や障害者の方などが外出しやすい環境づくりという点で、公共交通の充実が必要です。交通費の補助制度とともに、実際に利用する公共交通が不十分では、外出が難しくなります。市は1999年に策定したオムニバスタウン計画において、特に交通不便地域の解消を図り、「市民の足」を確保し、高齢者など移動制約のある方に外出機会の増加を促すこと。また、生活の利便性向上と社会参加を支援し、地域社会の活性化を支援するとして、自動車利用からバス利用への転換を促し、自動車交通量の削減によるバス走行環境の改善を図るなどの目的で、市内6地区の「交通不便地域」に、ミニバスの導入などを図ってきました。

しかし、現在、ミニバスが導入された地域においても、バスの本数が減少するなど逆行する事態が生まれています。鎌倉のどの地域においても誰もが住み続けられるまちづくりが大切です。公共交通の充実を図るため、事業者任せにせず、公共交通における課題解決を図るよう求めるものですが、市の取り組み状況と見解を伺います。

なお現在、ミニバスが入れない地域について、オンデマンドモビリティによる社会実験が行われてきましたが、自治会任せにせず、市が責任をもって事業化に踏み出すよう強く求めるものですが、あわせて伺います。

(5)介護保険料の利用料軽減について

次に、介護保険の導入から21年となり、実態はどうなっているでしょうか。昨年8月から介護施設における食費・居住費と高額介護サービス費負担限度額が見直され、特別養護老人ホームなどの利用料が負担増となった高齢者が相次いでいます。介護保険の仕組みが改悪され、低所得者が対象の食費・居住費の軽減措置が縮小されたためです。費用が2倍になった方もいます。

改悪されたのは、住民税非課税世帯の人の食費・居住費を軽くする「補足給付」制度で、食費負担の引き上げは、特養や老人保健施設、介護療養型医療施設などに入所している低所得者の方の負担を、月2万円から4万2千円に引き上げました。ショートステイの食費負担は、全ての住民税非課税世帯で1.5倍から2倍に引き上げとなりました。

もう一つは、資産要件の見直しです。「補足給付」の対象となる預貯金額を「1000万円以下」から、収入の区分に応じ「500万~650万円以下」に変えました。「補足給付」が利用できないと、年金が80万円以下の場合、食費・居住費の負担が月額6万6千円も増えることになります。

「補足給付」は、食費・居住費を全額自己負担に改悪した際、厚労省が「低所得者に配慮」するとして導入した仕組みです。ところが、その後、要件を絞り込む改悪を繰り返し、利用者や家族の経済的な負担が増え続けています。

負担増となった家族からは「月約10万円の母の年金がなくなってしまう」、「生活費の負担も増えるなか、どこを削ればいいのか」など悲鳴があがっています。コロナ禍で仕事を失ったり、収入が減るなどした人の中には、親を施設で介護している人も多くいます。苦境にある人に追い打ちをかける「補足給付」の負担増を見直す必要がありますが、鎌倉市において影響を受ける人数を伺います。

一方、利用料負担も収入によって最大3割まで引き上げられ、市民は保険料と利用料の双方に苦しむことになります。国に対し、生活実態から負担増をやめて、引き下げを求めるとともに、きちんとした市独自の減免制度創設が緊急に必要ではないでしょうか。見解を伺います。

(6)国民健康保険事業について

次に国民健康保険事業についてですが、国民皆保険制度として、年金者や非正規の派遣労働者、自営業者の方などが加入されていますが、年収200万円以下の低所得者が6割を占めています。国の補助金が少なく、共済保険などに比べて負担が重くなっています。均等割について、国は子育て支援として、未就学前児のいる家庭に対する軽減制度を4月からスタートさせます。議会として国に実施を求める意見書が採択され、実ったことは一歩前進ですが、補助内容は半額補助かつ就学前までに限られ、不十分といわざるを得ません。市独自の軽減制度を拡充するよう求めますが、見解を伺います。

また、保険料水準が全体として高額であり、これ以上の負担増にならないよう市としてどのような取り組みを考えているのか。新年度の保険料水準の見通しとあわせて伺います。

(7)健診の充実・視覚障害など健診料軽減策の検討

次に、高齢化社会が進むなかで、鎌倉でも加齢性の難聴になる方が増えています。「音は聞こえるが、会話が理解できない」、「騒音や複数の会話が飛び交う中で、内容の理解ができない」、「早口だと理解できない」など、悩みも多いと聞いています。また、加齢性難聴は高音が聞き取りにくいそうです。

専門家によれば、難聴の影響で、人との交流が減り、結果、認知症の発症につながるケースも少なくないと指摘されています。ぜひ医師会とも協議し、労働安全衛生法で行っている「聞こえ検診」の実施とともに、補聴器補助の検討を強く要望しますが、見解を伺います。

一方、視覚障害の原因となる疾患の全国調査によると、第1位は緑内症、第2位は網膜色素変性症、第3位は糖尿病網膜症であるとのことです。やはり高齢者の方が多く、視覚障害における緑内障の割合は28.6%で、15年前の調査結果に比べて7%増加しています。緑内障や糖尿病網膜症は自覚症状に乏しい病気で、症状がなくても定期的に目の検診を受け、早期発見し治療を開始することが重要といわれています。この点でも医師会との協議を行い、ぜひ視覚検診の創設にむけた検討を求めますが、見解を伺います。

(8)小児医療費助成制度の年齢拡大について

次に、子育て支援に関連する施策について何点か質問します。

まず、子どもの医療費無料化について、中学校卒業まで所得制限が廃止されることを評価するものです。今後についてですが、東京都は所得制限つきで、医療費無料化を18才まで拡大する方針を明らかにしました。県内でも先進自治体があります。「子育てするなら鎌倉で」といわれるような取り組みとして、保育園や子育て支援センターの充実などを図りながら、ぜひ医療費無料化の年齢拡大にむけた検討を始めるよう求めますが、いかがですか。

(9)給食費の軽減策とオーガニック給食の導入について

次に、市長は4期目の公約の一つに、学校給食へのオーガニックの導入を打ち出しました。12月議会で私も伺いました。未来を担う子供たちに安心・安全な給食の提供、また食を通じて、地場農業への関心や有機農業の促進、環境教育など多くの効果があると認識しています。オーガニック給食の実施に向け、新年度は具体的にどのような取り組みを考えているのか、伺います。

また、オーガニック給食導入にあたっては、保護者負担の軽減のため、市が食材費の負担を補助する方針とのことです。そうであれば、オーガニックだけでなく、給食費の軽減策を検討するよう求めますが、見解を伺います。

(10)少人数学級の前倒し実施による拡大について

次に、学校教育では環境整備として、少人数学級の拡大は多くの保護者の願いでもあり、一日も早い前倒し実施を希望しています。一人ひとりを大切にする環境整備は、コロナ禍で不安に感じている子供たちに寄り添った対応が切実に求められている今こそ、優先順位が高いのではないでしょうか。

教育委員会は、一学級35人を超える大規模学級を有する学校には市費で非常勤講師を配置することで、少人数での指導の充実を図るとしていますが、これでは不十分であるため、国や県への教員確保の要望を強めるべきです。少人数学級の前倒し実施を改めて求めますが、見解を伺います。

(11)保育園における保育士確保などについて

次に、保育園について、市内の民間保育園では保育士の確保で、民間有料職業紹介所に1人100万円の手数料を支払って確保する努力をしています。公立保育園でも苦労していますが、保育士不足とあわせ、公立保育園と民間保育園の保育士配置基準の格差改善も課題となっています。民間保育園では公立と同様の配置にするため、運営費をやりくりして努力されています。そうした実態のなかで、横浜市では処遇改善のため保育士1人4万円の補助をおこなっています。国や県に補助基準や保育士配置基準の改善を求めるとともに、鎌倉市として処遇改善補助を行うよう求めますが、見解を伺います。

また、障がいをもつお子さんの成長と安心した保育のため、市独自の障害児保育加算の補助を行っています。今回、補助額の見直しが行われたことは評価するものです。同時に、障害者手帳1・2級対象の第1特別経費においては人件費の3分の1程度である11万7千円、同手帳3~4級の第2特別補助は月額8万9千円でありますが、鎌倉市の独自基準で認定している手帳を持たないお子さんの通常経費は月額6万1千円になっており、実態に合わない保育士配置であるため、民間園は運営費をやりくりして保育士を配置せざるを得ない実態があります。

お隣の藤沢市では、鎌倉の基準にあたる障害手帳を持たない園児に対し、月額13万5千円助成しており、鎌倉の第1特別経費より多い助成額であります。ぜひ県に補助の再開を求めるとともに、市の補助制度について改善を求めますが、見解を伺います。

(12)学童保育支援員の処遇改善(指定管理事業者など)

次に、学童保育について、民間学童保育の補助事業の継続を求める陳情が議会で採択されています。現状は、子どもひろばによって事実上、学童保育の待機児童の穴埋めをしており、形式的に待機児童ゼロと市はいっています。このことと本来の待機児童対策は区別が必要で、民間学童保育が果たしている役割は重要です。新年度以降も民間学童の補助を見直すのではなく、民間学童保育施設への継続支援を求めますが、見解を伺います。

国の「放課後児童支援員処遇改善臨時特例事業」により、学童保育支援員について、月額9000円の引き上げが2月から実施されますが、今年9月までの補助となっており、なぜ年度途中までなのか、腑に落ちません。

また、鎌倉市として、同事業の対象にしているのは民間学童保育の2施設と認識していますが、なぜ他の指定管理事業者の指導員などについては対象とせず予算化されていないのでしょうか。事業対象を広げるとともに、10月以降も、安定した学童保育の事業が続けられるよう、市の責任で継続的な処遇改善支援をおこなっていただきたいと考えますが、見解を伺います。

(13)市営住宅の再編整備と戸数増について

二番目の大項目の最後に、住宅施策について伺います。新年度から市営住宅の集約化事業が実施されます。まず、深沢クリーンセンター西側用地において住宅の新規建設を行い、令和6年度に笛田住宅の居住者が移転予定です。次に、笛田住宅の解体後、同跡地に住宅の新規建設をおこない、令和8年度に岡本住宅の一部居住者を残し、笛田の新住宅に転居予定とのことです。

冒頭でも触れましたが、貧困と格差が広がるなか、低い家賃で入居できる公共住宅の確保は重要な課題で、それは応募数の多さが示しています。第2期の建て替えの中で、岡本住宅の一部居住者が残るのであれば、岡本住宅の一部跡地にも新規建設をおこない、残った一部居住者が新住宅に転居するとともに、戸数増となるような整備を提案するものですが、見解を伺います。

3.防災と環境対策・安全安心なまちづくりの抜本的強化を

について伺います。

(1)本格的な職員地域担当制をめざし防災体制の強化

2018年の委員会視察で高知県黒潮町に伺いました。東日本大震災後に出された津波想定高が日本一高いことで危機感を深め、職員と住民が力を合わせて防災の取り組みを進めている先進自治体です。中でも、「職員地域担当制」を導入し、浸水区域の40地区に全職員を分担して、住民とともに取り組む体制整備を行っています。地域事情に詳しい職員を適切に組み合わせるなどして、地域に入り住民と一緒に避難上の地形的・物理的課題を図面に整理するなどして、大きく取り組みが進んだとのことでした。住民に寄り添い、地に足をつけた体制づくりが必要であることを学びました。

鎌倉の実情は、地域ごとに取り組みの差が大きいため、職員がもっと地域に入り住民とともに取り組む姿勢が求められます。暫定版として「職員地域担当制」をつくりましたが、主に災害時の連絡調整です。地域を支援できる体制強化にむけた取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

(2)避難所運営について、福祉避難所の増設・ペット同伴避難の促進

次に、避難所の問題については、できるだけ質の良い環境に改善する方向で、要支援者・要配慮者の方を受け入れられる体制の構築を含め、国際基準である「スフィア基準」を取り入れた避難所運営の検討をすべきと申し上げてきました。そのなかで、福祉避難所については増設されていますが、十分とはいえません。要配慮者の方が直接避難を含めスムーズに避難できるよう箇所数の増加とサポート体制の充実が求められますが、今後の市の取り組みについて伺います。

また、実際の避難に際して、犬や猫など共に暮らすペットとの関係が支障になっている現状があると考えられ、同伴避難所の確保など、市の具体的な対応を進める必要があると思います。その際、ペットの同伴者と一般の避難者、特に動物アレルギーのある方々とのトラブルを避けるため、ペット同伴避難者のエリア分けや、ペット登録台帳の作成、大型犬等のスペース確保を行う方針であると認識していますが、今後の取り組みについて伺います。

(3)道路や歩道の修繕や整備について

次に、道路や歩道の整備・修繕について伺います。

「鎌倉市社会基盤施設マネジメント計画」では、「安全で安心なインフラを持続的に維持管理していくためには、インフラの現状を把握し、長期的な視点で検討する必要がある」とされています。しかし、市民要望の強い歩道の修繕については事後保全であり、修繕点検などの計画がありません。2022年度は歩道の根上がり整備に一部着手するとのことですが、波打ち歩道やひび割れなどが散見されます。道路とともに歩道の点検を行い、課題を整理し、整備計画の検討を求めますが、見解を伺います。

また、唯一の歩道整備計画である、市道大船―西鎌倉線の整備について、進捗状況と今後の課題について伺います。

(4)私道の安全対策について

また、私道について、鎌倉市は特段の維持管理計画をもっていませんが、市民の生活環境の向上、市民の命と安全を守る行政として、老朽化の心配がある私道についても適切な関与が必要ではないでしょうか。現在、市として部分的に可能な私道への支援策を拡充するとともに、せめて現在の支援内容を分かりやすく市民に紙面等で情報提供するなど、所有者任せにするのではなく、積極的な取り組みを行う必要があると考えますが、見解を伺います。

(5)気候変動(脱炭素)対策とエネルギー施策の推進

次に、気候変動の影響でいま、北極や南極の氷が溶けるなどにより海面が上昇し、自然界に様々な変化を生んでいると言われています。温暖化により農業や漁業など生産者にも影響が及び、また突発的な豪雨や暴風による被害など私たちの生活にも影響が広がってきており、待ったなしの課題です。

そうしたなか、昨年11月に国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が開催され、国際的に気候変動対策を推進する動きが徐々に進んでいますが、市として鎌倉市民の環境に対する行動や意識の変化等について把握するため、アンケートを実施しました。回答の結果による傾向や特徴を踏まえ、市民の声を市の施策に活かしていくことが大切ですが、市の考えを伺います。

具体的な課題として、脱炭素に貢献できる再生可能エネルギーと省エネをいかに鎌倉の中で広げていくかです。この点で、来年度は鎌倉市エネルギー基本計画及び同実施計画の見直しを行うとのことですが、いま実施している施策に加え、調査や分析だけではなく、新たな事業実施が必要ではないかと認識していますが、市の考えを伺います。

例えば、市では公用車の更新時に電気自動車に順次変えていく方針ですが、これをいかに民間や市民に広げていくか。急速充電器の増設など市内の事業者と連携した事業を広げるなど、鎌倉全体に普及させていく戦略が必要ではないでしょうか。そうした検討もしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

(6)ごみ問題の取り組みについて

次に、ごみ問題について伺います。名越クリーンセンターは2025年3月で休止となり、その後、鎌倉の燃やすゴミは2市一町の広域化協議の中で、逗子市に10年間、焼却してもらうことで合意しています。

逗子市への運搬に際しては、一度、中継施設で積みかえる必要があります。そのため、名越クリーンセンター跡地に中継施設の整備が予定されていますが、何よりも地元地域への丁寧な説明と交通問題を含む合意が不可欠です。

新年度予算案には、発注支援等業務や生活環境に関する評価・調査業務が計上されていますが、現在の協議状況と今後の課題について伺います。

中継施設の工事予定は、2025年3月名越停止後から2ヵ年となるため、その間の中継施設が必要となります。その候補地が今泉クリーンセンターということで、生ごみ資源化施設建設問題と区別した相当慎重な地元地域との協議・合意形成が不可欠になると思います。2年の仮設ということなのか、その後の利用可能性も含めた検討になるのか、住民との協議状況とあわせて伺います。

逗子市に当面、焼却をお願いすることはやむを得ないとしても、焼却量は年間最大で1万トンの約束であり、鎌倉市の燃やすゴミのさらなる分別資源化が必要不可欠です。党市議団は一貫して重量ベースで燃やすゴミの約半分を占める生ごみの資源化が必要であると問題提起し、市も審議会の審議を経て、地球温暖化対策にも貢献する技術として、バイオマス化による処理方式が計画になった経過があります。それを覆したところから混迷が始まるわけですが、今一度、立ち返るべきではないでしょうか。候補地の再変更を早期に判断し、再検討するよう求めるものです。現状認識と生ごみ資源化の取り組み姿勢について伺います。

事業系の燃やすゴミについては、埼玉県内の事業者等を対象に全量資源化の処理委託を行う予定とのことです。資源化については、日進月歩で技術が進んでいますが、何より最終処分が地球環境にやさしい方向にすべきです。

この点で、処理方法は良いとしても、他県にまで燃やすゴミを運ぶことはCO2の発生量を増やすことにもなります。当面は仕方ないとしても、将来的には鎌倉市により近い場所での処理が望ましいと考えます。市として今後どのような取り組みをしていくのか、伺います。

(7)デジタル法への対応・個人情報保護について

次に、個人情報保護に関連して伺います。

昨年9月にデジタル庁が発足しました。「我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与するため」としていますが、マイナンバーと預貯金口座を紐付け、個人情報を行政として外部に提供することが可能になる仕組みであること。また、情報システムの標準化により、自治体独自のルール化がしにくくなるなど、デジタル法には多くの懸念があります。

このほど個人情報保護に関するガイドライン案が示されました。情報公開・個人情報保護運営審議会、市民への意見聴取の機会を含め、市の条例改定について、今後の取り組みやスケジュールを伺います。

匿名加工情報について、市は、特定の個人を識別することができないよう個人情報を加工して得られる情報は重要な情報であるため、慎重に取り扱うべき情報であると答弁しています。今後の条例改定で、匿名加工情報の作成・提供を認めないことや、加工について民間への外部委託をしないように求めるものですが、いかがですか。

また、ガバメントクラウドの活用で、自治体と国が同様の仕組みになり、鎌倉市としての独自事業が行われにくくなる恐れがあること。さらに、自治体や企業ならびに独立行政法人が持つ個人情報が一本化され、「スーパーシティ構想」におけるデータ連携基盤ともなります。

条例改定にあたっては、個人情報の適正な取り扱いのため、これまでの取り組み経過を踏まえ、個人情報保護を保障する仕組みについて、デジタル時代に相応しく強化していくことが求められると思いますが、見解を伺います。

(8)スマートシティ構想(スーパーシティ構想)の進め方について

次に、市が提案し応募した「スーパーシティ構想」について、大胆な規制改革の提案が乏しかったと内閣府の国家戦略特区専門調査会から意見が出て、昨年10月15日に再提案した経過があります。

市が現在進めているスマートシティ推進事業では、「スーパーシティ構想」に必要な「データ連携基盤の整備及びオープンデータの拡充を行う」ための予算が新年度に入っています。「データ連携基盤の整備」は、スーパーシティ構想を実現する上で最も重要な土台とされています。そこでは自治体が持つ個人情報が、企業や独立行政法人と共有されることになります。

「データ連携基盤の整備及びオープンデータの拡充」や「地域共生プラットホームの構築に向けた検討」は、スーパーシティ構想への布石ではないかとも思いますが、福祉分野の課題解決を理由に、AIやICTの活用で個人情報を差し出すことには慎重であるべきと考えますが、いかがですか。

(9)平和推進の取り組み(実行委員会の休止・見直し)について

最後に、平和行政についてです。

鎌倉市の基本理念である「平和都市宣言」に基づく平和推進事業について、今年度から市民公募をやめました。「平和推進実行委員会」を休止する鎌倉市の方針に対し、実行委員の方々から請願が出され、昨年2月議会の総務常任委員会で長時間の審査が行われました。僅か40万円ほどの予算を削り、若い世代にも広げられる新たな方法の検討などという市の姿勢に強い疑問の声があがりました。実行委員の方々にも知恵を借りたいというなら、何も休止することはなかったわけです。

当時、一年かけて新たな方法を検討するということでしたが、どのような検討が行われ、新年度から実施しようとしているのでしょうか。伺います。

以上で、登壇しての質問といたします。

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