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たかの洋一のかけある記 見解・主張・資料

2022年12月28日

市役所移転「位置条例」を否決!特別多数議決3分の2に達せず

〇位置条例「改正」案に対する反対討論を紹介します

~本庁舎等整備計画の見直しを~

議案第51号鎌倉市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例の制定について、当市議団を代表して意見を申し上げます。

・今回の条例改正案は、9月29日に行政が策定した「移転計画」を容認するか否か。これが内容的に問われたものです。同時に、条例案の前提となる地方自治法第4条の規定について、同条第二項規定の経緯が何であれ、現に規定が存在している以上、認識が問われます。市の裁量権を踏まえたうえで、具体的な判断根拠を本会議でも尋ねましたが、「総合的に考慮」というだけで具体的な中身は殆ど示されませんでした。

・「他の官公署との関係等について」、現在地の周辺に集積している官公署などが移転先の深沢事業用地に整備されるような話は一つもなく、「(移転先である)深沢のまちづくりが進めば、そのうち移転する所も出てくるのでは…」と述べるだけ。無責任ではないでしょうか。事実上、「本庁舎だけを移転させればよい」というレベルで、新たな中心市街地という「まちづくりの視点」が伴っていない不十分な移転計画と言わざるを得ません。

・費用面でも、関連する深沢事業用地の土地区画整理事業の費用が59億増の見込みとなることが判明し、先行きは全く不透明です。新庁舎の建設費用も、現在の170億円で収まる保証はどこにもなく、むしろ増加する可能性の方が高いでしょう。200億円を超えるのではないでしょうか。そうした状況であるにも関わらず今後、設計段階から建設へと向かえば、もう事業を止めることはできません。そのことからもいま、この時点での慎重な判断が求められているのではないでしょうか。

・移転に不安を感じられている少なくない市民のなかには、市は跡地整備といっても単なる支所になってしまうのではないか、という声があります。そのことに関連して、松尾市長は、ご自身で書かれた12月21日付のフェイスブック投稿記事に寄せられたコメントに対し、次のように返答されています。市長の投稿記事へのコメントの中で、「…市役所移転した場合、今ある市役所機能で無くなるものはなんですか?…」という問いに対し、市長はコメントを返しています。

「提供する行政サービスの内容についてはまだ決定しておりませんが、市民の皆様が多くご利用される行政サービスについては引き続き提供することを予定しています。無くなるという点では、市議会や市長室、企画総務関係、市役所の3階と4階にあります、開発、建築、道路関係の部門は無くなります。」

これを読む限り、生活福祉や障がい者、年金や医療、介護、子育て、青少年、環境、観光部門といった、現庁舎1階における市民サービス機能はなくならない、ということになりますが、新庁舎等整備計画にも現在地利活用基本構想にも示されていません。

・当会派の高野議員は以前から、仮に移転するにしても全部局ではなく、御成の現在地に相応しい機能は「鎌倉庁舎」(仮称)に残し、二拠点の「分散化方式」が望ましい。それは鎌倉地域を含む市民の合意が前向きに進むことにもつながる、と繰り返し議会内外で訴えてきました。現在地利活用基本構想では、「安心して行政サービスの提供を受けられるよう、支所と同等以上の行政サービス機能を配置する」としており、含みのある表現がされていますが、具体的な機能は示されていません。また、既に策定された新庁舎等整備基本計画と整合性がとれているのかも不明で、実際はどうなるのか、「支所と同等」程度にとどまるのか、定かでありません。

もし、本気でその気があるなら口先だけではなく、行政計画等において具体的に示すべきです。それは新庁舎等整備計画を見直し、現在地利活用計画の素案に反映させることに他なりません。そうした担保がきちんとされない限り位置条例には賛成できず、また不十分な現状のまま可決すべきではないということです。それは設計段階以前の問題で、市長のコメントは、いみじくもそのことを事実で示しているのではないでしょうか。

・さらに、自治法第4条第2項にある「交通の事情」に関して、新庁舎等整備に関する特別委員会に千議員が提出した項目への市の見解です。「移転後の新庁舎周辺と現在地周辺等との交通ネットワークについては、バス路線の新設・再編整備を含め、関係機関と連携し、来庁者の視点に立つ公共交通の確保に配慮していく考え…」とあります。  

この点について、本会議や委員会で、現にバス会社との協議は行われ、見通しはついているのかどうか、質疑しました。それに対し、「現在地と移転先までシャトルバスを」とか、「バス路線の再編についてバス会社と合意はしているが、協議はこれから」など行政として希望的観測を述べるだけで、現実問題として、具体的な見通しはたっていないことが分かりました。 この問題は、移転事業を淡々と進めながら、「いつか実現できたら」といった程度のことでは済まされません。本当に行政の中心地を歴史的な経過のある鎌倉地域から深沢事業用地に移そうというなら、現実に解決しなければならない課題の一つです。その保証も全くない現時点において、「将来的に何とかなるのだろう」といった希望的観測で、議会が移転事業にお墨付きを与えるのであれば、議会も行政とともに重大な責任を負うことになることを厳しく指摘しなければなりません。事業費の規模からいっても、後から言い訳するような事態になってはなりません。

・以上、本議案の議決に関わり、何点か申し上げましたが、他にも様々な点があります。例えば移転事業の本庁舎「等」の部分である深沢生涯学習センターや深沢図書館の整備のあり方、現在地利活用における民間活用と公共活用の割合、公共活用部分が少ないという問題です。鎌倉生涯学習センターの集会室機能が本当に確保できるのか、など市民生活に関わる重要な点が山積しています。少なくとも、現在検討中の現在地利活用基本計画と足並みを揃える必要があり、その間、現在の移転計画をより良いものにするために見直しをする。きちんとした形で、大多数の市民に理解が得られるよう熟度を高めるべきではありませんか。それくらいの大事業です。

偶然か必然か、分かりませんが、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が完結致しました。源頼朝や政子、北条義時など、自身の親族を含め多大な犠牲を生みながら、それでもこの鎌倉に命を賭し、行政の中心地としての政権都市を築いた悲喜劇のドラマであったといえます。そうした歴史や文化も受け継ぎ、半世紀以上先の市民に本当に誇れる良い計画にするため、知恵を出して、もっともっと練り上げようではありませんか。そのために一度待ったをかける必要があることを心より訴え、反対討論を終わります。

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