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2月定例会 予算等に対する反対討論(武野議員)3月25日

日本共産党鎌倉市議会議員団を代表して、意見を申し上げます。

議案第98号令和2年度鎌倉市一般会計予算、議案第100号令和2年度鎌倉市国民健康保険事業特別会計予算、議案第103号鎌倉市後期高齢者医療事業特別会計予算には反対、ほかの7議案については賛成いたします。


市民のくらしは今、年金の削減、介護医療の負担増、実質賃金の減少、正規の雇用が減り、パートや派遣労働者の増加で、貧困と格差がかつてない規模で広がっています。こんな状況だからこそ、自治体の本務である住民の福祉の増進を図ることを市政運営の基本に置くことに、最大の力点を置くべきです。また、昨今の公共施設再編計画などに示される住民不在の、事の進め方に、無用な混乱や行政不信を引き起こしているのではないでしょうか。

初めに一般会計予算について、何点か意見を申し上げます。

まず初めに村岡新駅建設についてです。

深沢地域整備事業のあり方は今後の市政において最も大きな焦点の一つです。特に、隣の藤沢市村岡地区に建設方針の「新駅」については、新駅概略設計負担金として1億円弱の予算が計上されています。2018年12月に県知事と藤沢市長及び鎌倉市長が「合意書」を交わし、松尾市長はそれまでの慎重姿勢から推進へと転じました。

「新駅概略設計」は、来年度末までにおこなう「最終見極め」に必要な駅の建設費などを明らかにするものです。そもそも設計はJRが実施するにも関わらず、「合意書」で3県市が負担するとしていること自体、間違っています。JRが「新駅」建設に事実上、参画するのであれば、JRの負担で行うのが筋です。3県市からの要請だからと、全て税金で負担するのはおかしいと思います。

そもそも「村岡新駅」建設は、深沢のまちづくりにとって全く必要性がないと考えています。隣の自治体エリアに「新駅」をつくらなければ、深沢のまちづくりが成り立たない、という考え方そのものが異常です。今後、駅舎や橋の整備などに50億円〜100億円程度の負担が予想され、こんな支出を多くの市民が納得するとは思えません。

市長が行革方針との関係などから過去に採っていた「慎重姿勢」こそ市民感覚とも合致しており、これでは「開発派」に転じたのだと言われても仕方ありませんが、来年度の「最終見極め」については、経費との関係などで「合意書」に基づく取り組みを変更する可能性が含まれていることを認められました。

少なくとも50億円以上の財政支出を伴う問題であるだけに、事業用地の周辺だけではなく、全市域を視野に入れた市民合意が必要不可欠と考えます。税金で「新駅」をつくろうとしているのだから、市として、「新駅」の賛否を含めた市民の声を顕在化させる何らかの取り組みが必要です。

最後に、財政的視点ですが、市民には「財政が厳しい」と言いながら、このような1億円近い金額を予算計上できるのなら、もっと市民の暮らしに寄り添った税支出を行うべきです。また、「新駅」をつくれば国からの補助が得られ、メリットがあるかのように言われますが、逆に、「新駅」をセットにしているからこそ、身の丈に合わない大型開発になり、財政的な危機を生む可能性があるのではありませんか。

「新駅」にこだわらなければ、今回の予算審議でも取り上げられた坂ノ下の市民プールに代わる総合体育館整備など、本当に必要最小限で身の丈に合った開発計画に見直すことが可能になり、むしろ財政的にも無理のない事業につながると考えます。

1億円近い概略設計負担金を出すまでもなく、新駅建設の方針を見直すべきと重ねて申し上げます。

次に、ごみ問題です。

たび重なるごみ処理方針の変更で、もはや市民の信頼を失っています。しかし後がないごみ処理問題なだけに、逗子の焼却施設の受け入れ期限が切れるまでの間にやるべきことを確実に進める必要があります。まず市民との信頼関係を築くため、今後の処理施設用地の確保のため、住民に計画を押し付けることなく納得と合意をはかることを一番大切にすることです。そして11年前の振出しに戻ってしまったごみ行政ですが、燃えるごみの半分を占める生ごみの資源化を進めるため、現在は技術も進歩したバイオガス化も含め、最新技術の生ごみ処理の探求をすることが重要だと思います。

次に、市役所移転問題です。

市民が市役所移転に関して住民投票条例を求める署名運動があったほど、市民の関心は膨らんでいます。洪水浸水対策や利便性など、市民からのさまざまな疑問や問題点の指摘もあり、市民を巻き込んだ議論は不十分です。

議論すべき点を述べます。

一つは、検討に当たっては分散化の視点を重視すること。二つ目に、頻度の多いとされていされる洪水浸水対策を含む防災面での検証です。三つめは、財政問題です。

耐震化や現地での建て替えをするより安いという理由で、巨額の資金がつぎ込まれることに対し、わが議員団は、インフラ計画である「鎌倉市社会基盤施設マネジメント計画」にあるような、長期的な視点に立ち、長寿命化で財政負担の平準化を図ることを要求してきました。今の本庁舎は耐震補強もされており、どこに急ぐ必要があるでしょうか。

本庁舎移転に伴う支所の廃止方針について、昨年の台風被害では、支所の役割が非常に重要でした。単に避難所としてだけでなく、住民の安全を守る拠点として機能しなければならない支所を、廃止するのではなく住民と行政の懸け橋となるよう、しっかり位置付けることこそ大切なのではないでしょうか。

財政的に困難な超大型事業です。整備スケジュールに幅を持たせて、十分な市民的検討を保障するよう求めるものです。

公共施設再編計画に伴う市民からの陳情についてです。

この間、岩瀬子ども会館、玉縄青少年会館の利用者から、なくさないでほしという陳情が出され、玉縄の住民からは、廃止の大本である公共施設再編計画の見直しも求められました。なぜ利用者の意見も聞かず計画を粛々と進めるのでしょう。子ども会館も青少年会館も市民の財産です。市民不在の選択と集約は、絶対にあってはなりません。公共施設再編計画は、市民生活に多大な影響を及ぼすものです。時間をかけてでも地域ごとにまちづくりの視点で市民の意見を反映した計画になるよう求めます。

次に、作業センターにおける職員数適正化計画について意見を述べます。

ここ数年、作業センターにおける作業件数は2500件から3000件と、ほぼ横ばいです。それにもかかわらず、作業センターの職員の退職者不補充の計画があるため、正規職員がどんどん減っています。

平成29年度から8班編成が4班編成になり、H31 年からR7度年までに退職者が11人、その時には班編成が3班になってしまうと言います。台風の対応や段差解消、インフラの応急的延命など、到底迅速にできるはずもありません。

委託化の研究や、RPA、AIを活用し、バランスを考えながら進めるといいますが、それらが進む前にすでに退職者がでていることをどう説明するのですか。最低限の直営体制を維持しつつと言いますが、最低限の定義も示さないまま退職者不補充を続けることは無責任極まりないです。

作業センターの良い所は、市民から要望があったらすみやかに応えられることです。だから頼もしい存在として市の職員が信頼されているのです。

作業センターについて職員数適正化計画では、計画期間中であっても必要に応じて見直しを検討するとなっています。とくに災害の多い昨今、作業センターの人員の見直しを求めます。

次に、高齢者の外出支援について意見を述べます。市民からの強い要望を受け、わが党市議団が長い間要求してきた交通補助制度の復活・充実について、来年度にやっと運転免許証の返納者のみですが予算化されました。この制度が利用できる人は2年間のみということですが、3年目からは外出支援がなくなることや、すでに返納された方は対象から外れます。免許証のない高齢者も使える交通補助制度として、さらなる制度の拡充を求めます。

次に、鎌倉市国民健康保険事業特別会計予算について意見を述べます。

貧困と格差、非正規労働者の拡大により、全国的にも国保加入者の所得平均は減少する一方、保険料は増え続けています。鎌倉市においても、所得は減少となっていますが、1人当たりの保険料は増加しています。

平成30年度から国民健康保険の運営主体が県広域となり、県が決めた「納付金」を支払うことになりました。31年度の県への納付額は30年度と比べ、1人当たり平均9000円も納付金が多くなりました。一般会計からの繰り入れを増やしていない結果、市民の保険料は1人当たり5000円強の値上げとなりました。令和2年度の納付金は昨年度より少ないとはいえ、一般会計の繰入額が減少したことにより、来年度も値上げとなります。

国は一般会計からの繰り入れを減額する計画を立てるように強制し、計画を実行しない場合はペナルティーまで行う方向です。

全国知事会など地方団体が、国保の構造的問題解決のために公費投入増による保険料の引き下げを国に求めていますが、このままでは市民の生活実態とはかけ離れた保険料負担になってしまいます。一般会計からの繰り入れの継続と増額の検討をすべきです。

また、市が一丸となって健康づくりの取り組みを行い、医療や介護負担の軽減をしていくことが待ったなしの課題です。同時に、全国知事会は子どもに係る均等割保険料軽減措置の導入を要求していますが、子育て支援の立場から、鎌倉市においても独自の均等割の減免を求めるものです。

次に、鎌倉市後期高齢者医療事業特別会計予算について意見を述べます。

年金削減、税消費増税など負担増が続く中で、高齢者の生活は更に厳しくなっています。県に一般会計からの繰り入れ増や健康づくり促進など保険料軽減策が必要であります。一定収入以上は現役世代より保険料負担が重くなるなど、病気がちな75歳以上高齢者医療保険制度は社会に貢献してきた高齢者いじめとの制度です。制度はやめるべきであり、令和2年度は保険料改定の時期であり、今のままでは大幅な値上げが予想されます。更なる保険料値上げには反対するものです。

最後に、市長は、SDGsや共生条例で、一人一人を大切にする「誰一人取り残さない」をスローガンにしています。それは掛け声だけになっていないでしょうか。日常生活圏の整備、行政の地域化、市民参加で、市民が主人公のまちづくりを、ともに考える取り組みを求めます。
世界的に広がりを見せている新型コロナウイルスで、自治体ができることは何か、今後の市民生活に何が必要か、市内経済の状況、学校も含め、市民生活への影響を窓口対応にとどまらずできるかぎりキャッチし、市民に寄り添う市政運営をお願いして討論を終わります。