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市役所移転には市議会の議決が必要という問題について

広報かまくら5/1号を期に、市役所移転の問題が市民の間でもようやく話題になってきました。市民的合意はまだまだ緒についた段階と考えますが、一方で市としては今年度に「本庁舎等整備委員会」を立ち上げ、最短で7年後の移転整備に向けて準備を進めています。

移転については賛否が別れていると認識していますが、議会の関与について、「鎌倉市役所の位置を定める条例」があるので、議会が議決しないと移転決定できないとの指摘が一部の方からされています。では、この条例はどのような意味をもっているのでしょうか。

画像は議会事務局に調べてもらったもので、現庁舎の建設に至る経過が分かりやすく記載されています。議会として特別委員会を設置して議論したことが分かります。そして、例の「位置条例」は、新たに開庁したその日、昭和44年4月23日に臨時議会を開いて可決されています。

「鎌倉近現代史年表稿」には、「4・23 鎌倉市庁舎、御成町18-10に鉄筋4階建で新築落成し開庁式を行なう。引き続き新議場で臨時市議会開く。」と記載されています。つまり、仮設庁舎から移転したその日に新しい議場で臨時議会を開いて「位置条例」を議決したということです。

私は、この歴史を知って感動しました。焼失後、数年をかけて議会内外で議論が行われ、移転し開庁した新たな庁舎の中で、最初に市役所の「位置条例」を議会は議決したのです。位置を定める条例は、移転するかしないか定かでない段階で提案・議決すべき性格の条例ではないのです。

「行政実例」には、「位置変更条例の制定時期は、新事務所の建築着工前とするか、建築完了後とするかは、当該市町村の事情によっていずれかでも差しつかえないが、建築に必要な財源のみとおしもたたない時期に制定することは適当ではないとの実例がある。」と記載されています。

現庁舎の移転整備に伴う「位置条例」の議決を新庁舎オープンと同日に行ったというのはドラマチックで、何もそこまでは必要ないと思いますが、たとえ建築着工前であっても現実的な建設見通しをもった時点で当該条例が提案され、議決するのが筋であり適切ではないかと考えます。

したがって、当該条例は、実質的な移転の賛否を決めるものというより、住民合意を進める中で財源も含めた実現見通しがついた段階で、いわば追認的に議決すべき性格の条例であるといえるのではないでしょうか。「位置条例」で決まるという議論ではなく、賛否を含めた丁寧な住民合意の取り組みこそ何よりも大切であることを指摘するものです。