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盛岡市・リフォーム助成制度、葛巻町・クリーンエネルギーについて視察に行きました

日本共産党鎌倉市議団の行政視察で、10月31日に岩手県盛岡市、11月1日に同県葛巻町を訪れました。

 商工会議所が主体の住宅リフォーム助成制度が市民に大きな反響

盛岡市は人口29万、岩手県の県都で中核都市です。今年5月から、経済振興策として住宅リフォーム助成制度が始まりました。

実施主体は商工会議所で、「個人住宅改良支援」及び「地域振興商品券 SANSA]を発行し、低迷する経済情勢に対して、市内消費需要及び市内商工業者の経営意欲を喚起し、市民生活の向上と地域経済の活性化を目的としています。

一定以上の費用をかけ(30万円以上)住宅改良工事を行った市民に「振興商品券SANSA]を一律10万円分を交付するというものです。

予算は1億円でしたが、5月2日の受付開始からたった1週間あまりで申し込みが一杯になったことから、6月議会でさらに1億円の補正予算を組み、追加分を7月12日から募集しましたが、それも2週間で申し込みが一杯になったほどの市民から反響がありました。

リフォームを行う住宅条件は平成17年12月31日以前にたてられた居住用途の住宅で、市内に居住していること、地元業者が施工すること等です。商工会議所が要望して、昨年に検討し、今年度実施となりましたが、この間共産党市議団も継続的に要望してきました。

現金ではなく商品券にしたのは、地元商店等で使っていただき、経済活性化につながるようにしたいと検討した結果であり、商工会議所からも商品券方式での実施が要望されたとのこと。リフォーム助成の商品券と一緒に一般商品券(10%のプレミアム付き 1セット11枚、1人6セットまで、額面500円)も同時に行い、この商品券もすぐ売り切れとなったとのことです。

今回の制度は、商工会議所に市から補助金をだして、商工会議所が実施する形式です。経済団体が主体となり市が援助・協力する方法は注目に値します。市としては、商工会議所が商品券事業を行った経験もあることから、こうした形式になったとのことです。

申し込みは7割が業者(代行申請可)で、事業者が市民に営業を積極的に行ったとのことでした。経済効果について、業者にアンケートを行い、効果を検証していき、今後の継続実施について考えていきたいとのことでした。

今回、2000件の申し込みのうち、工事費が30万から50万までが939件、50万以上100万までが623件、経済効果は18億円強と約18倍の効果があるとのことでした。

鎌倉市でも住宅リフォーム助成制度を来年度から実施する方向で検討されています。経済振興や地震対策にもつながるような制度になるよう求めていきたいと思います。

 クリーンエネルギーのまち 岩手県葛巻町の先進的取り組み

次に、岩手県北部の葛巻町に行きました。市域の86%が森林であり、標高400m以上が95%以上の高原のまちです。エネルギー自給率が166%であり、3・11の福島原発事故以降、クリーンエネルギーのまちとして、全国的にも更に注目されているまちです。先日、観光厚生常任委員会も視察しました。

人口は7400人で、牛が11000頭と人口よりも多く、東北一の酪農のまちです。酪農の歴史は古く、明治25年にホルスタイン種を導入したそうです。林業はカラマツ集成材や自生のやまぶどうを使ったワインづくりを行っています。新エネルギーの導入は、平成11年から風力、太陽光、バイオマスなど行ってきている先進地域です。

1999年に新エネルギー・ビジョンを策定し、「自然と人間との共生」を基本理念に取り組まれています。駅もない、高速道路もない、温泉もない、平均気温8度、冬は-20度にもなる土地で米や農作物も育ちにくいなかで、土地や地域の自然そのものを生かそうと取り組んできたとのことです。町議会議員が自費でデンマークとドイツに行き、風力、バイオマスについて学び、町の行政と一緒に推進したきたとのことでした。

また、町に企業を呼び込むことは厳しいことから、町長を先頭に第3セクターによる3つの会社をつくり、地域の活性化をすすめてきました。牧場での酪農・チーズづくり、やまぶどうを使ったワインづくり、宿泊施設の運営、自然エネルギーの推進を総合的に進めています。

自然エネルギーについては、悩みの種であった牛のし尿をバイオマスとしていかし、ガス化や堆肥・液肥にした活用を行うとともに、林業の間伐材をチップやペレット化して燃料として活用する事業を行っています。

風力発電は、現在2カ所で合計15機稼働しており、東北電力に売電していますが、町民が利用できず、発送電の分離が根本課題であるとのことです(自給率166%でも地元が利用できない矛盾)。自然エネルギーを推進するために国として解決しなければならない課題であることを再認識しました。

葛巻町における自然エネルギーへの活発な取り組みは、産廃誘致の問題を乗り越え、町の自然を生かした取り組みの歴史によるものです。原発依存から自然エネルギーへのシフトは国民的な課題ですが、鎌倉市でも生ごみと汚泥バイオマスの活用処理、太陽光発電の本格的な推進、緑の間伐による木質バイオマスの研究など、本格的に検討しなければならないことを痛感しました。

何事も情熱がなければ進みません。天・地・人のめぐみをいかした葛巻町のまちづくりから学ぶべきことがたくさんあると思います。本当に鎌倉という土地を「まち」を愛しているのかいないのか、自然エネルギーの推進に本気で取り組むのかポーズだけなのか。いま、鎌倉市(長)に問われていると思います。(吉岡記、高野補記)